【グジャラート建築案内】1.ル・コルビュジエ (3)ショーダン邸’Villa Shodhan’

ル・コルビュジエはアーメダバードで5つの依頼を受けたが、実際に完成したのは4つである。
その中でショーダン邸は1951年から設がはじまり、最終邸には建設されなかったハジシング邸が、1953年にシャンバハイ・ショーダンに売られ敷地を変更して実現した。

ル・コルビュジエは彼の作品集の中で、この敷地の変更は驚くほど上手く行ったと言っている。ショーダン邸は前記のモノレ型住宅のサラバイ邸と対をなすかの様に、シトロアン型住宅(ドミノ型住宅)を原型にしていると考えられる。
建物は設計過程の中で多くの変更が行われたが、建築的な特徴としては、繊維工業会館と同じくブリーズ・ソレイユ(写真9)、パラソル型屋根(写真10) 、外部と内部が連続するバルコニーがある。

写真9

写真9

写真10

写真10

繊維工業会館との違いは、ショーダン邸は個人住宅であり、より個人の日々の生活の喜びに根ざし、比較して内向的な雰囲気となっている。

外観はブリーズ・ソレイユがつけられ繊維工業会館とよく似た印象をうけるが、内部空間はロンシャン教会を彷彿とさせる薄暗い中、効果的に空けられた開口部(写真11)が、日々の暮らしに喜びをもたらすかの様である。
またパラソル型屋根の下には、建築面積の半分近い半屋外空間が設けられ、当時独身であったショーダン氏がインドの強烈な日差しの中でもパーティーを開ける様に設計されたとも言われている。

写真11

写真11

現在でもショーダン邸は、ショーダン夫妻が住み、恐らくル・コルビュジエが設計した建物の最初のオーナーが住み続けている唯一の建物であろう。

 

住所:非公開

電話番号:非公開

見学時間:非公開

見学方法:1990年代までは見学可能でした。現在では見学不可。

 

(寄稿者:飯田寿一)