【グジャラート建築案内】1.ル・コルビュジエ (2)サラバイ邸 ‘Villa Sarabhai’

サラバイ邸は前記のカストルバイ・ラルバイの妹のマノラマ・サラバイと2人の息子の為の住宅として建てられた。

初期案は1952年に提案され、1956年頃完成をした。ル・コルビュジエの住宅建築のプロトタイプは、直方体で柱を多用するシトロアン型住宅(ドミノ型住宅)とヴォールトを水平に連続連結させるモノレ型に別れるが、サラバイ邸はモノレ型住宅の典型と行って良い。

敷地は旧市街の北側、空港の南側の広大な森の中にある。現在でも敷地内にサラバイ一族がすみ、一部はキャリコミュージアムとして解放している。ル・コルビュジエは影と自然の風を最大限に取り組んで最良の環境とすべく、建物位置が慎重に決めた。建物の南側にプール が設置され、自然の風と気化熱を用いて室内気温を下げている。

建物の特徴は、モノレ型住宅の特徴であるヴォールト(ここではカタルーニャヴォールトというスペイン・カタルーニャ地方で良く用いられた薄いレンガを用いたカーブの緩いヴォールト)が水平に連続している(写真6)。

写真6

写真6

その間を一筆書きでつなぐ様に部屋が連続して繋がっている。また外部との境界には前面開口の回転ドアがつけられ、多くの季節ではドアは解放され、自然と内部空間が繋がっている。屋上は緑化され屋上庭園(写真7)となっている。

写真7

写真7

ル・コルビュジエによれば、屋上庭園は、適切な湿度と断熱性能を屋根に与え、インドで最良の環境を得る為に最適な解法といっている 。この屋上庭園からプールをつなぐ滑り台(写真8)が二つの棟の間に有り、シンプルなヴォールトの反復である建物を特徴づけている。

写真8

写真8

ここでも「近代五原則」の屋上庭園の発展系を見る事ができ、モノレ型住宅の発展である事も考えれば、ル・コルビュジエの理論とインドの気候風土が素晴らしいマリアージュをした彼の最高傑作の一つであると言えるだろう。

現在の建物はサラバイ一族が美術を愛好している事もあり、1950年代から1970年代の世界中の一級品の美術品が並べられ、またル・コルビュジエのオリジナル絵画もあり、さながら美術館の様になっている。

 

住所:非公開

電話番号:非公開

見学時間:非公開

見学方法:2012年頃までは見学可能でした。現在では見学不可。

 

(寄稿者:飯田寿一)