【グジャラート建築案内】1.近代建築の巨匠、ル・コルビュジエとアーメダバード

グジャラート州アーメダバードはインド西南部に位置し、19世紀から繊維工業で栄え多くの富豪を生み出した。

其の中でも宗教的戒律により商業を得意とするジャイナ教達は、富を社会に還元する事を美徳とし、学校や病院の建設・運営など多くの社会事業を行った。1950年代に入ると彼らはインドの近代化に寄与すべく、ヨーロッパやアメリカの建築家を招致し先進的な建築の設計を依頼した。その中でも特に重要となるのがル・コルビュジエとルイス・カーン、そしてその弟子達である。

 

※ル・コルビュジエについて

ル・コルビュジエは1887年にスイスで生まれフランスで活躍し、近代建築の発展に寄与した建築家 である。その影響は、ヨーロッパのみならず、日本、アメリカ、アジア諸国、その後の殆ど全ての20世紀の建築はル・コルビュジエの影響を受けたと言われている。ル・コルビュジエとインドの関わりは1950年代に始まったチャンディガール都市計画から始まる。チャンディガール都市計画は、初代インド首相ジャワハルラール・ネルーの主導で、印パ分離に伴い失ったパンジャブ州都ラホールの代わりとなる都市として建設された。 ル・コルビュジエはマスタープランナー及び主要な建築物の設計者を依頼され、度々インドに来る事となった。そしてル・コルビュジエは、ネルーの紹介で彼の友人であるアーメダバードのジャイナ教徒コミュニティのトップであるカストルバイ・ラルバイを通じ、アーメダバードで幾つかの建築が実現した。

(寄稿者:飯田寿一)