【グジャラート建築案内】1.ル・コルビュジエ (1)繊維工業会館 ‘Ahmedabad Textile Mill Owners’ Association House’

アーメダバードのジャイナ教の富豪達は繊維工業で財をなした。そして彼らはル・コルビュジエに 集会場の設計を1951年に依頼した。1952年に最初のスケッチが描かれた。当時のル・コルビュジエのオフィスにはチャンディガール都市計画やユニテ・ダビダシオン、そしてロンシャンの教会などが進められ、繊維工業会館は彼の創造性のピークの時期に設計された。

 敷地はサバルマティ川の川辺に位置し、ル・コルビュジエはこう敷地について話している。「敷地となる庭園は河を見渡す位置にある。そこには染織の作業を進める人々の情熱的な光景が繰り広げられている。人々は綿繊物を洗い、砂の上に乾かす。傍らでは、アオヤギや牛、水牛、ロバが涼を求めて河に身を浸している。これらの情景に眺望という額縁を与え、夜には、大会議室や屋上でパーティーを開けるような数階建ての建物の依頼を受けた」。

建築的な特徴は、建築をインドの気候風土に調和すべく様々なアイデアで、ブリーズ・ソレイユ(写真1)、柱に支えられたパラソル型屋根(写真2左側)、U字型の屋根(写真2右側)、外部と内部が連続するバルコニー(写真3)などである。また、ル・コルビュジエが1920年代以降に、サヴォア邸などで用いた手法をより大胆に利用している。例えば 正面から2階の集会室に向かう為のシンボリックなスロープ(写真4)が設置され、建物に特徴を与えている。

写真1

写真1

写真2

写真2

写真3

写真3

写真4

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またル・コルビュジエはインドにおける設計において影の重要性を度々主張している。チャンディガール都市計画には影の塔と呼ばれる影を利用したモニュメントがあり、彼にとって影が如何にインドの建築にとって重要であったかが窺い知れる。繊維工業会館には西側立面全体にブリーズ・ソレイユと呼ばれる庇がつけられ、インドの強い日射しによる深い影が、建築に立体感と刻々と変わりいく自然の表情を与えている(写真5)。

写真5

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開設当初の平面計画は、一階に一般事務室 、二階には館長室とミーティング室、三階に約80人収容の集会室があった。現在では、一階にシアター兼集会室、二階に館長室とル・コルビュジエに関する展示室があり、三階は変更が無い(しかし、殆ど使われていない)。余談だが、屋上にはル・コルビュジエの元で働き繊維工業会館の現場監理をし、インドの近代建築の巨匠バリクリシュナ・ドーシの当時のサイン(落書き)が残されている。

この建築がインドの近代建築に与えた影響は大きく、最高傑作の一つとしてインド国内のみならず、世界中から見学者が訪れている。

しかし、建設当時には200を越えた繊維工場も現在では10以下となり存続が危ぶまれているが、インドの近代建築の傑作が長く残っていく事を祈らずにはいられない。

 

住所                   :Ahmedabad Textile Mills’ Association, Ashram Road, P.B. No. 4056, Navrangpura, AHMEDABAD, India 380 009

電話番号            : (079) 26582273-74

見学時間            :平日10:30-16:30 土曜日10:30-12:30

見学方法            :館長のMr Abhinava Shukla, Secretary General宛に見学希望の旨を伝え、許可を得る必要がある。

Email                   : abhinava_shukla@atmaahd.com

 

注:2016年2月頃までは、見学時間に建物に行くだけでよかったが、現在では方法が変りました。インドなのでアポ無しでも可能性があるとは思いますが、遠方から来る人はメールをした方がベター。

 

(寄稿者:飯田寿一)